幼馴染みの期限
「ーーああ。着いた。で?このままここで待てばいいんだな」
どうやら美桜がここまで迎えに来てくれるらしい。
激しく心臓が鳴り響いている。ドクンドクンと脈打つ振動は全身を揺さぶって、視界を揺らす。それだけで眩暈を起こしそうだ。
うつむいて唇を噛み締めながら、それでも何とか踏ん張ろうと両足に力を入れる。
……だめだ。立っていられない。
「広海……」
広海のコートの裾を掴むと、ぐっと手を引っ張られて、そのまま肩を抱き寄せられた。
……ザッ、ザッ。
靴音が近づいて来る。美桜が来たのだろうか。
広海にすがって辛うじて立っている。こんな情けない姿を見られてしまったら、再会どころかますます美桜に嫌われてしまうかもしれない。
そう思っても足には力が入らず、抱き寄せられたまま私達は足音の主と対峙した。
「やあ、はじめまして」