幼馴染みの期限
「僕が美桜の事を知ったのは、夏休みで実家に帰った時。……ただ、学校に行かずに家に引きこもってるって話を聞いただけで会えなかった」



「僕が美桜に会ったのは、それから一年後。もうその頃には普通に学校に通っていて、昔ほどの明るさはないけれど普通に会話もできるようになっていたよ」



引きこもっていた、と淡々と事実だけを口にする楓さんの言葉に胸が締め付けられた。



やっぱり……美桜だって傷ついていたんだ。



私の傍には当たり前のように広海がいてくれた。広海が支えてくれたから、私は立ち直れたけど、美桜はそんなに長い間……




「……ごめんね。樹里ちゃんにそんな顔をさせたくてこんな話をした訳じゃないんだ。お願いだから、そんなに悲しい顔をしないで」

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