幼馴染みの期限
「ただね……僕がお節介をしたくなっただけなんだ。梓と美桜が仲良くなってから、僕は勝手に二人の兄のような気持ちで見守っていたから……」



「……だから、二人が惹かれあっているんじゃないかって、気が付いてしまったんだ」




……惹かれ合う?




じゃあ、梓さんと美桜は付き合っているの?



だけど、それにしては楓さんの表情はどこか困っている ような感じで、何だかおかしい。



「……美桜は、梓さんの気持ちに応えなかったんだろ」


私の違和感に応えるように、広海が確信を持ったように楓さんに話しかけた。



楓さんは無言で頷くと、ふぅ、と、ため息のような息を吐いた。



「……その通り。だから、君から連絡をもらった時は驚いたよ。神様がこのタイミングで君たちを会わせるべきだって、そう思ったんじゃないかなって」



「美桜と君たちの間に何があったのかは、僕は詳しくは知らないし、梓の兄ってだけで僕がここまで関わるのはおかしい話なのかもしれない」



「……でも、『傷つけた人がいる。私だけがしあわせになるなんて許されない』……こんな言葉で梓の気持ちを拒絶されたのは、兄としては納得が出来ないからね」


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