幼馴染みの期限
はぁ……と大袈裟に聞こえるほどの音量で、楓さんはため息をついた。


「どうも、うまくいかないね。予定が早まったと思ったら、呼び出したはずの美桜は来なくてここに来たのは梓だった……さぁ、広海くんどうしようか?」



やれやれ、と困り顔の楓さんの言葉を聞いて、梓さんの顔色が変わった。



「『ひろみ』くん……?って、あの、ひろみくん?」


「…………美桜の幼馴染みの?」


その薄茶色の瞳が、真っ直ぐに私の姿を捉えた。



「じゃあ……あなたは…………『じゅり』ちゃん……なの?」



息を飲んだ私の様子を見て、彼女は全てを察したのだろう。



「ふーん……そういう事か。何こそこそ私に黙って美桜と連絡取ってるんだろうって思ってたけど……」




最初の愛想の良さとは違い、冷たい温度で見下ろすような視線を向けられた。


< 185 / 345 >

この作品をシェア

pagetop