幼馴染みの期限
ひぇぇぇー。怖いっ。何で分かったの?背中に目でも付いてんの?
「『無駄話』だって。今何気に私の事もディスったわね。……しかし、じゅりっちとろみっちは相変わらず仲がいいね」
縮みあがる私を見ながら宏美さんがフフッと笑った。
宏美さんは、名前が被っている広海のことをろみっちと呼んでいる。
最初は嫌がっていた広海だけど、さすがにもう諦めたらしく呼ばれるがままだ。
しかし……あの流れでどーして仲良しに見えるんでしょう?
むしろ、まちこんより気になるんですけど?
そう言おうとして宏美さんのほうを向くと、宏美さんの後ろの方から刺すような鋭い視線を感じた。
『まだそんなとこにいるのかよ、お前は』
遠くからでもそんな広海の声が聞こえて来るような気がした。そのままヤツは浴室の方へと消えて行った。
……入浴介助か。
相手の言いたいことや行動が手に取るように分かってしまうこの状態……
それが『仲良し』ってことなら、宏美さんの言うとおり私達は超が付くほど仲良しこよしに違いない。
あぁ怖かった。美形のひと睨みの威力は半端ない。
「すみません。また後で話聞きます!」
また睨まれてはたまらない。片付けもそこそこに私は慌ててリハビリスペースへと向かって行った。