幼馴染みの期限
〈1日前〉戻りたい、取り戻したい
***
ーー 『ナナツキ シイ』?
この場にいた誰もがその突然の言葉に反応できず、広海に向かって困惑の表情を浮かべながら固まる中で、広海だけはずっと開きっぱなしの扉の向こうに視線を送っていた。
そして広海の視線に合わせるように、全員が扉の方を向いた瞬間、ドサッ、と何かが倒れたような音が聞こえた。
「……美桜!!」
そう叫んで扉の向こうへと駆けていった梓さんを、呆然とした思いで眺める。
開けっ放しの扉、よく分からないけれど『ナナツキ シイ』の言葉でドアの向こうから感じた動揺したような気配……
そして何よりも名前を叫びながら駆けていった梓さんを見て、私は、美桜もこの場に最初からいたんだとようやく理解した。