幼馴染みの期限

「ーー悪かったな、驚かせて」


広海が扉の向こう側に声をかけた。


最初っから、広海は美桜がこの場にいた事に気がついていたんだ。


「……」


返事は無かった。


たけど、梓さんも美桜も二人とも、息を詰めて広海の言葉を待っているような、そんな気がした。


「樹里と俺の今の気持ちは聞いたよな?……それでも俺達に会いたく無いんだったら、姿を見せなくてもいい。そのまま門脇さんと一緒に帰ってくれ」


「楓さんに頼んで、俺達が待ってるって何も伝えずにここに来てもらったし、騙したようなもんだからな。母さん達と連絡を取り合っていたのも許せないって言うなら、これからは連絡もしない」


「今後一切美桜にも、美桜の回りの人達にも関わらないって約束する」



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