幼馴染みの期限
***


「……美桜……なの?」


そんな言葉が自然と唇から溢れ落ちた。




「……そうだよ、樹里」




その声を聞かなければ、美桜とは信じられなかったかもしれない。


私と広海の記憶の中の美桜は、10年前の姿のままで止まっている。


広海より少しだけ背が高くて、ショートカットで、ボーイッシュな美桜。


いつも凛としていて、お姉さんみたいに頼りがいがあって、カッコいい自慢の幼馴染みだった美桜。



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