幼馴染みの期限
沖田 広海はいいヤツだ。
ウジウジしたことが嫌いで、さっぱりとしたその性格は、集団で行動する女子特有の行動を苦手としている私と妙にウマが合う。
見た目だって、かなりイケていると思う。
さらさらとした感触の柔らかな茶色い髪の下にはパッチリとした二重瞼と長い睫毛に縁取られた大きな瞳が見える。薄茶色の瞳。すっと通った鼻筋。ふっくらと厚みのある薄紅色の唇。
イケているというか、もはや『美人』と言ってもいい。
生まれてこのかた、女子力というものを持ち合わせていない地味な顔の私は、小さい頃から華やかな広海の容姿が羨ましくて仕方がなかった。
そこにいるだけでパッと目立つ広海は友達もたくさんいたけど、生まれた頃から一緒の私とは特に仲が良かった。
女扱いはされたことが無かったけど、遠慮なく何でも話ができる自慢の幼馴染み。
それが広海と私の関係……だったはずなんだ。
「ごめん……私、間違えちゃったんだね」
私の言葉を聞いた広海は、その整った顔を悲しげに歪ませた。
罪悪感に胸がチクン、と痛む。
後悔して欲しくない。
私が……間違えてしまっただけなんだから。