幼馴染みの期限


…………変わりたかった?



唐突に繋がれた言葉の意味が分からなくて首を傾げる。


女性らしくなりたかったって事?



それとも……?



「あの頃の私には……樹里と広海の存在が全てだった。夢も、希望も、恋も……何もかも」



「二年になって樹里は特進クラスに選ばれたのに、私は選ばれなかった。樹里とはクラスが離れて、広海は私と一緒のクラスだったのに、クラスだと殆ど口もきかなくなって、文芸部にも顔を出さなくなった」



「寂しかった。……ずっと三人で仲良くやっていけると思ってたから、二人と距離ができたように感じて辛かったの。それに……ずっと好きだった人が他の人を好きになってしまったって気がついてしまった」



「そんな時に両親が離婚する事になって、家族すら私から離れてしまうのかって絶望した。引っ越す事になって、樹里とも広海とも離れたく無かったのに、二人とも……好きな人に夢中になってて、私の悩みなんて気がついてもくれなかった」



「……私の願いは何一つ叶わないんだって。だったら、全部壊してしまえばいいって、そう思った。三人で約束した夢も、私の初恋も、あなた達の恋も……全て」



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