幼馴染みの期限

だけど、最初は合わせてくれていた目線を下げて泣き出しそうな表情で項垂れながら話す美桜の事を、身勝手だとはどうしても思えなかった。



……だって、身勝手なのは美桜だけじゃない。




私たちは、幼馴染みで幼い頃からの一番の親友だった。



そんな立場に甘えて、言葉で伝え合わなくても大切な事は伝わっているはずだって、お互いにそう信じてしまっていた。



そうして、気がつかないうちに、少しずつ少しずつすれ違ってしまったんだ。



苦しみを分かってもらえなかった美桜は、全てを捨てて壊す事で、自分自身を守ろうとした。



美桜に捨てられた私は、もう一人の幼馴染みの広海と『幼馴染み』を続ける事で……



いつまでも変わらずにそのままで居続ける事で、自分自身を守ってきたんだ。





私も、美桜も、自分の事しか考えずに……




< 204 / 345 >

この作品をシェア

pagetop