幼馴染みの期限
「ーー それで?『弱い自分』から『強い自分』には変われたのか?」
広海の問いかけに、美桜は無言で首を横に振った。
「……変われなかった。自分の思い通りに壊して捨てたはずなのに、ずっと苦しくて、後悔ばっかりして……脱け殻みたいになってた」
「梓がいなかったら、私、きっと壊れてた」
「仙台に来た時はもう、何もいらないって思ってた。夢も、友情も、愛情も。……中学生の時の、あの時の想いが一生のものだって信じてたから。もう誰も好きにならない。なるはずがないって、そう思ってたのに…………」
俯きながら話す美桜の手を、そっと後ろから梓さんが包み込んだ。
「…………っ」
梓さんの手が美桜に触れた瞬間に、ポロリと美桜の瞳から涙が溢れ落ちた。
二人はお互いに想い合っている。
言葉なんて交わさなくても、見ているだけで気持ちが伝わってきた。