幼馴染みの期限
そんな美桜を見て、広海はちょっとだけ右側の眉を下げた不機嫌な顔になった。
そしてそのまま唇は引き結ばずに、ぞんざいな口調で言葉を放った。
「強くても弱くても、変わっても変わらなくても関係無い。そのままのお前でいいって思ってくれる人が側にいるんだ。気持ちに応えればいいだけだろ」
「そんな単純な話じゃなーー」
「単純な話だろーが」
「……ったく、お前は相変わらずだな。単純な話をごちゃごちゃと頭ん中でわざわざ難しくしやがって。本当、何考えてんのか分かんねえ」
広海の言葉に、今度は美桜が唇をギュッと噛み締めて不機嫌な表情になった。
お互いに睨み合っているような状況なのに、そんな二人を見て、私の胸の中には言いようのない懐かしさが込み上げていた。
***
『何考えてんのか、全然分かんねー!』
昔、三人でいつも一緒にいた時、広海は何かにつけて美桜にそう言い放っていた。