幼馴染みの期限

美桜は、小さな頃から自分の感情を文章にして表現する事が上手だった。



だけど、文章として表に出している言葉より、推敲して頭の中だけで考えて、誰にも言わないままで内側に仕舞って取り出さない言葉も多かったんだと思う。



広海は、文章を書く事が苦手だった。


だから、思っている事は全部隠さずに口にしていた。


どんな小さな事でも言いたい事は直接伝えたほうが早いからって、朝早くでも夜遅くでもおかまいなしに部屋に入って来た事も、数えきれないくらいあった。



こんなに長い付き合いなのに、メールをもらった回数なんて、片手の指で足りるくらいだ。



私達三人は仲は良かったけれど、美桜と広海はまるで水と油で、私がいなければきっと二人が関わる事すら無かったんじゃないかって思う。




私と広海みたいにギャンギャン言い争う事は無かったけれど、二人の間にはいつもチリチリと見えない火花が散っていた。




だから美桜が広海を好きだったんだ……って知った時に、私は本当に驚いたんだ。



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