幼馴染みの期限

「好きだったら『好き』って言えばいい。簡単な事だ。お前は自分に胸を張って生きたかったって言ったよな？……だったら、ごちゃごちゃ頭の中で考えてないで、思うままに言葉で伝えればいいだろ」



「俺達の事なんて言い訳だし、そんなの理由にされるのも迷惑だ。あれから10年も経ったのに、何でお前は今も苦しんでるんだよ？」



「……結局、お前は全部捨てきれなかったんじゃないのか？友情も、愛情も、夢も。…………だから、また小説を書き始めたんだよな？……一からやり直すのか、それとも取り戻したかったのか、俺には分からないけどな」





ーー 違うのか？




そう静かに問いかける広海の声に、美桜は唇を噛み締めて、黙って広海をじっと見つめていた。