幼馴染みの期限
再び静まり返った部屋の空気を変えたのは、まるで緊張感の無い梓さんの声だった。
「あー、分かった!そういう事かぁ!」
その声に広海はまた右の眉を下げて唇を引き結び、楓さんは呆れた表情で大きなため息を吐いた。
「……梓。今は僕たちは口を出しちゃいけない所じゃないのかな」
「ねぇねぇ、美桜。私、分かっちゃった。美桜の秘密」
「……全く聞いてないね」
またため息混じりにそう言うと、それっきり楓さんは黙ってしまった。
どうやらもう、何かを言うのは諦めたようだ。
ずいぶんあっさりと引いてしまったので、どうやらこの会話は日常的な光景なんだなと悟る。
「俺は美桜に聞いてるんだけど」
梓さんに話掛ける広海の言葉も全く耳に入っていない様子で、
「ねぇ、樹里ちゃん。あなた、2月生まれでしょう?」
と、今度は私に向かって話かけてきた。