幼馴染みの期限
「『シイ』は、広海の事なんだね」
『シイ』
『シー』
『sea』
…………つまり、『海』だ。
『ナナツキ』は私と美桜の事で、『シイ』は広海の事。
美桜は、私達三人の存在そのものを……ペンネームに使ってくれていたんだ。
「俺はそうだと思った。……まぁ、美桜が俺の名前をペンネームに使うなんて最初は信じられなかったけどな……美桜、お前さ、この名前で『ナナイロ文庫』のコンテストに応募したよな?」
「俺は、それがお前の俺達への『会いたい』っていうメッセージだと思った」
***
「…………ナナイロ」
隣で話す広海の言葉を受けてポツリと私も呟くと、美桜の瞳は驚きに見開かれ、顔はみるみると青ざめて、唇は色を失った。
「……なん、っで……それ……を?」
「…………『何で』って……お前なら分かるだろ?それを知ってるからあえて出したんだと俺は思ったけど……違うのか?」
辛うじて言葉を紡いだ美桜に、広海は少しだけ眉を顰めて問いかけた。