幼馴染みの期限

ポロポロと涙を溢しながら話す美桜に向かって、広海は大きなため息をついた。


「……お前も、ずいぶんといい友達関係を築いてきたんだな」



「ーーなっ、ちょっと!!」


そんな広海の言葉に、すぐに反応したのは梓さんだったけど、


「ーー梓」


いい加減にしろ、と楓さんが厳しい口調で梓さんの言葉を止めた。



「……美桜。樹里には、俺以外に連絡を取ってるヤツなんていないよ。文芸部も三年に上がってすぐにやめたんだ」


「お前が転校してから、三年に上がるまで樹里は休学したんだ。で、三年に上がる時に特進クラスを辞退した。……ってのは、『お友達』から聞いてたかもしれないな」



「…………だけど、これは知ってたか?」


「クラスが変わって俺と同じクラスになった途端にこいつ、いじめに遭ったんだよ。気にしないように頑張ってたけどな。……正直、見ていられなかった」


「文芸部の奴らにも、メールをしても誰からも返事も返って来ないし、部室に行ったら全員に無視された……たぶん、文芸部の中に向井が好きな奴でもいたんだろうな」


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