幼馴染みの期限

……どうして?



誰にも、一度も相談なんてしなかったし、広海だって絶対に気がついていないと思ってたのに。



「……知ってたよ」


私の心の声に合わせるように、広海が答えた。



「あんだけ物が無くなったり、下駄箱や机に怪しい手紙が入ってたり、その手紙を見てひきつった顔をしてたお前を見てたら、バカでも分かるって」


「崎山先生も気がついて、早めに対処してくれたけど……あれが続いてたら、お前もっと酷い目に遭ってたはずだ」



三年に上がってすぐ、特進クラスから普通クラスに戻った私を心配した広海が、ずっと側にいてくれた。


教室でのいじめや嫌がらせの類いは、ずっと一緒にいたから気がつかれてしまっても、不思議では無いと思う。


だけど、文芸部のみんなから受け入れてもらえなかった事まで広海が知っていたのには、さすがに驚いた。


同級生だけでなく、後輩からも話しかける隙も無いほど徹底的に無視されて、その冷たい空気に耐えられなかった私は、すぐに部活を辞めてしまった。


もうここには私の居場所は無いと思ったから。


……それに、美桜だっていない。


三人の夢も消えて無くなってしまった。だから部活自体にも、全く未練は感じなかった。

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