幼馴染みの期限
……だけど、
「……美桜はこれでいいの?」
止めようと思うのに、口から言葉が溢れてしまう。
「三人の夢を諦めきれなくて、ずっと小説を書き続けてたのに……なのに、気持ちを伝えないなんて。……本当に、このままでいいと美桜は思ってたの?」
『……やっと、広海に会えたのに』
言えない言葉だけは飲み込んだけど、それを視線で伝えるように、じっと美桜の目を見つめた。
だって私達が決別したあの日に、私は、はっきりと美桜の気持ちを聞いたんだ。
電話の向こうからでも、好きで好きで仕方ない気持ちが分かってしまうくらい……あんなに切ない声で想いを伝えていたのに。
もう過ぎた過去の事かもしれない。
でも、時間が過ぎただけでは区切りがつかない想いもあるんだって事は、私がいちばん分かっている。
「私ね……広海がここに連れて来るまで美桜とは会えないって思ってた。合わせる顔が無いって」
「でもね、本当はいつも美桜に会いたかった」
さっき私は梓さんに『美桜に会いたい』と伝えた。
美桜に会えるチャンスがあると知ったから、気持ちを伝えた訳じゃない。
ーー"私"だって、ずっとずっと美桜に会いたかった。