幼馴染みの期限
「へぇー、『街コン』。それって来月の頭に駅前でやるヤツかい?」
つい先日の失恋をまだ源さんのリハビリのお供にするほど吹っ切れていなかった私は、さっき『まちこん』なるものに誘われた、という話をしてみた。
『こん』が付いてるくらいだから、合コンの親戚みたいなもんだと予想はしているのだけど。
「まだ詳しくは聞いてないんですけど……源さんはまちこんを知ってるんですね」
片や失恋しまくりで、まちこんって何ですか?の23歳。片や街コンを知っていて、他人の恋に興味たっぷりでグイグイっと首を突っ込む84歳。昭和一桁世代恐るべし、だ。
「街コンなんか行かなくったって、樹里ちゃんにはろみちゃんがいるだろう」
「またその話ですか?広海とは幼馴染みで、ただの腐れ縁だって言ってるじゃないですかー」
知ってるくせに……
これが源さんのちょっと困ったところだ。
小さい頃から私達を知っている源さんは、私が広海のことを好きだ、という前提で『最近どうだ?』と話しかけてくる。
私の否定を聞いて、はぁぁ……と源さんは大袈裟にため息をつく真似をした。
「固い。固いねぇ、樹里ちゃん」
「固いって何ですか。そのフリ、いい加減やめてくださいよ」