幼馴染みの期限
「私、本に関わる仕事ができればいいなって……小学生の頃からずっと美桜に言ってたよね」



「『私は本を作る人になりたいです』って作文を発表した時に、クラスのみんなから『本屋さんになりたい』の間違いじゃないの?なんて言われたけど、美桜は、『じゃあ私がお話を書くから、樹里は私の編集さんだね……それで、広海の会社から本を出すの』って言ってくれたよね」


「美桜が私の夢を形にしてくれた。あれから私の夢は、三人の夢になった。それなのに……」



「……私が、最初に夢を諦めた」



美桜は、私達の前から居なくなった。


だけど、側に居なくたって同じ夢を追いかけることはできたはずだ。


広海は、文芸部を辞めてから脱け殻のようになってしまった私を、色々な所に連れ出してくれた。


中でも、一番楽しかったのが、ボランティアだった。


広海と私は別々の高校に進んだけど、中学の時と同じく長期の休みの時は、ボランティアに誘ってくれて、一緒に行っていた。

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