幼馴染みの期限
「ーー樹里」
「さっきは、樹里は全然変わってないねって言ったけど……変わったね」
「……昔は、こんなに自分に自信が無くて、自分ばっかり悪いような言い方はしなかった。あまりケンカはしなかったけど……それでも私や広海に『二人は悪くないよ』って言ってくれる時は、いつでも自分に正直に真っ直ぐな気持ちを伝えてくれた」
そう言うと、美桜も悲しみを耐えるように、ギュッと眉をひそめてじっと私の目を見つめてきた。
「……違う。違うの。一番悪いのは……二人に何にも伝えて来なかった私だよ」
二人の視線に耐えきれずに、目を逸らして下を向いた。
私の態度が二人を悲しませている。そう思っても、両目から溢れてきた涙を堪える事ができない。
「……私が樹里を変えちゃったんだね。樹里はこうやって私にも……広海にも、自分の気持ちを伝えられなかったって後悔しながら生きてきたの?」
「私……私のした事で、今もこんなに二人が傷ついてるなんて思ってなかった」
「私が幼馴染みの関係に恋愛の感情を持ち込んで……二人はちゃんと私の居場所を作ってくれてたのに、自分の思い通りにならないからって勝手に拗ねて、焼きもちを焼いて……子どもみたいに後先も考えないで二人を傷つけて、逃げた」
「樹里…………ごめんね。広海も……」
美桜の声が涙声に変わったのが分かっても、それでも下を向いたままの顔を上げる事がどうしてもできなかった。