幼馴染みの期限
広海は、美桜を誰よりも『大切』だって言った。
私も同じ気持ちで、美桜の事を大切だって思ってる。
その気持ちの前では……私達の間にあった諍いなんて些細な事だ。
10年前に美桜と私の間に何があったのか……私も、広海には一度も話して来なかった。
私の言葉で、美桜に対する広海の気持ちが変わってしまうのがどうしても嫌だった。
さっき美桜が、『広海にも色々と酷い事をした』って言いかけた話を止めたのは、きっと広海も私と同じ事を考えていたからだと思う。
できれば、あの時のままの気持ちで再会できるように。
お互いを大切だって思っていて、だけどすれ違ってしまった私達が、余計な言葉でこれ以上すれ違ったり傷つけあったりしないように。
私達が決別してから、広海は『二人だけの幼馴染みになろう』って言ったけど……
その言葉だって、『いつかまた三人の幼馴染みに戻れるように』って、最後にそう繋がっていくんじゃないかって思っていた。
美桜は私とは会いたくないかもしれない。広海と一緒にいる私を許してくれないかもしれない。
そう思いながらも、いつか幼馴染みに戻りたい。きっとそうなれるはずだって、心のどこかではずっと信じていた。
「美桜。……俺は、お前と幼馴染みで良かった。俺たちは、ただ仲良くしてるだけの関係じゃ無かったよな。……だけど、友達になれて良かったと思ってる」
「……お前は、どう思ってる?」