幼馴染みの期限
「でもね……本当にどこにでもあるような普通の初恋の話なんだけど、今まで書いてきたどの恋の話よりも……面白かったし、キラキラ輝いてた」
「だから、『ナナイロ』に応募したの。……広海も樹里も、きっと私の夢なんて忘れてると思ってた。見つけて欲しいなんて、そんな図々しい事は思って無かった。……だけど、応募するのは『ナナイロ』以外に考えられなかった……落ちちゃったけどね」
美桜は少しだけ俯きながら、カリッと人差し指で鼻を掻いた。
恥ずかしかったり、ちょっとだけ決まりが悪い時に見せる美桜の癖。
その仕草だけ、昔の時間から切り取られたように変わっていなかったのが、何だか嬉しかった。
「……樹里、広海。私ね、私は……これからも小説を書き続けていくよ。二人と同じ道じゃなくてもいい。だけど……書き続ける私を応援してくれたら嬉しい」
美桜の言葉に、私達は力強く頷いた。
私達が頷くと同時にパアッと明るくなった美桜の顔。
その顔も、笑顔も昔のままで変わらなくて……
やっと、心から笑い合える関係に戻れた事が嬉しかった。