幼馴染みの期限
そんな感じで、私達の番号確認がアッサリと終了すると、



「えー!?って事は、お互い電話を掛ける勇気があったら、すぐに連絡取り合えたの?……10年も何してたの?あんた達」



梓さんが、笑いながらこんな事を言ってきた。



……言いたい気持ちは充分に分かる。分かるけど、その勇気があったら今現在こんな状況にはなっていなかった訳で……



なんだかばつが悪くて、すごく恥ずかしい。



美桜の方を見たら、美桜も私と同じ事を思っているのか、どこか決まりが悪いような表情をしていて、お互い目が合った瞬間に吹き出してしまった。



「じゃあ……LINEも……」

「ID教える?あっ、QRコード出した方が早いか」

「振っちゃう?」


お互いにくすくすと笑いながらそんなやり取りを始めると、広海が私に、梓さんが美桜に、無言でスマホを差し出して来た。



……また面倒くさがって。



はいはい、といつものようにスマホを受けとると、美桜も全く同じようにはいはい、とスマホを受け取っていて、また二人で目が合った瞬間に吹き出してしまった。



ーーこの場には様々な想いがあって。



だから、口には出せないけれど。


……けれど、美桜が梓さんに惹かれた最初のきっかけって、性格も仕草も含めて、広海と似たような所があったからなのかな、って……何となく感じてしまった。


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