幼馴染みの期限
結局美桜がQRコードを差し出して、私がそれを読み取った。


そして、スマホの画面にパッと桜のアイコンが飛び込んで来た。



10年前には存在しなかった方法で、また繋がった私達。


私の心の中のぽっかり穴が空いた部分に、美桜が戻って来てくれたみたいで、じんわりと胸に込み上げてくるものがあった。



何だか泣き出したいような気持ちを押さえながらトークをタップして、『よろしくね』ってスタンプを押そうとして……



ふと思い付いた事を美桜に確かめたくなった。



衝動のままに、文字を入力していく。



ーー『ななつきしいって、漢字なの?ひらがな?カタカナ?』



目の前にいる美桜のスマホが"ピンポーン"と音を立てた。



美桜はスマホの画面を見てクスッと笑うと、タップし始めた。



程なくして私のスマホが同じように"ピンポーン"と音を立てる。



そこには、『"七月 椎"だよ』と書かれていた。


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