幼馴染みの期限
……やっぱりね。


"シイ"がもし漢字だったら、この字しか考えられなかった。


にっこりとウサギが笑うスタンプを押した後で、私は返事を打つ。


『楓さんと梓さんの字は、これで合ってる?』


ピンポーン


『イエス!』と羽付きウサギがガッツポーズをしているスタンプが押されていた。


美桜が私と同じスタンプを持っていた事に驚いて、実はこのスタンプのキャラクターの"(ハネ)ウサ"が実は羽浦市のゆるキャラで、美桜がその存在を知っていたっていう事に、また驚いて。


もう地元(羽浦市)に美桜の家は無いけど、地元の事を忘れないでいてくれたのかな……なんて、違うのかもしれないけど、そんな小さな事にもいちいち感動して、涙が出そうになりながらも、また私は返事を打った。



今度は、ちょっとだけ長文だ。



ピンポーン



私の返信を見て、美桜は一瞬だけ驚いて、そしてピンポーンとまた音がして自分のスマホを見ると……そこには(ハネ)ウサが『参りました』と土下座をしているスタンプが押されていた。



「……おい。お前ら目の前でLINEだけで会話すんなよ。気持ち悪いな」



お互いのスマホを見てクスクス、ニヤニヤしっぱなしの私達に痺れを切らしたのか、広海が右の眉を下げた。

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