幼馴染みの期限

「まぁまぁ、私が樹里と仲良くしてんのを面白く無い気持ちも分かるけど、機嫌直しなさいよ、広海。牛タンお土産に持たせてあげるから。ねっ？」


「……はぁ？お前何かー」


「本当？嬉しい！……それとも、せっかく仙台に来たんだから、どっかで牛タン食べて帰っちゃう？……あっ！でも朝ご飯、牛丼屋さんだったね。牛が被っちゃう！」


何か言い掛けた広海の言葉を遮って、美桜の提案に喜びながら乗っかってみる。


……せっかく再会できたのに、梓さんの存在も手伝って、広海は昔よりも数倍美桜の言葉に敏感になっている。


「えー！？せっかくここ(仙台)まで来たのに、わざわざ牛丼食べさせたの！？……何て気の利かない男なのー？あんたって」


……だから、梓さん。せっかく話を逸らしたのに、蒸し返さないで！


「まぁまぁ、そんなキツイ事言うなよ。彼も急にここまで来ないといけなかった訳だし……お姫様の思いつきに合わせてね。ほんと突然だったし、無計画だったし、振り回されたこっちはたまったもんじゃなかったけどね」



そこに何故か楓さんも乗っかって、一見広海を宥めているようで、よく聞いたらちょこちょこと広海を(私もか？)バカにした言葉を口にした。



みんながそこまで話した所で、いつもあまり感情を表に出さない広海が、一気に不機嫌な顔になった。