幼馴染みの期限
私の言葉が聞こえたって事は、考え事も終わったって事だ。


……ほんと、分かりやすい。



広海は、姿形は驚くくらいに変わったくせに、その性格は昔っから全然変わってない。



いいヤツなんだけど……頑固だし、人の話を聞かないし、一度決めた事は決して譲らないし(口も悪いし)。



だから、広海の事をあんまりよく知らない人には顔はいいんだけど愛想が無いよね……とか、自分勝手なヤツだとか……結構誤解されちゃう事が多いんだ。



「……ねぇ、広海。あのままで帰っちゃうのは、ちょっと失礼だったんじゃないの?」



楓さんは怒ってなかったけど……梓さんは何となくさっきの広海の態度に怒っちゃいそうな気がする。


ポカンとした表情から一転、『なんて失礼なヤツ!』なんて言いながら怒り出す様子が思わず目に浮かんだ。



梓さんは美桜の大切な人だから、広海の事を誤解して欲しくない。



「いいんだよ。結果がどうなろうと、会って話が済んだらすぐに帰る。……それが楓さんとの最初からの約束だったからな」



今頃、『美桜、やっぱりあんなヤツらと友達に戻るのは止めなさい!』なんて梓さんが言ってなければいいけど……なんて心配し始めた私に向かって、広海は飄々とした表情であっさりとそんな事を言った。

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