幼馴染みの期限
「えっ。……最初からの約束?楓さんとの?……何で?」


車の前まで来ると、広海は私の方を向いて真剣な表情で語りかけてきた。



「このまま友達に戻らずに帰るなら別に良かったんだろうけど、また友達に戻るって選択を俺達はした。……それがどういう事か、分かるか?」



だけど、全く意味がが分からなかった私は、首を横に振るしかない。



そんな私に、ゆっくりと言い聞かせるように広海が話し始めた。



「……いいか。話が長くなれば、久しぶりに会って嬉しいとか、懐かしいって思う気持ち以外の余計な感情も思い出しやすくなる。お前はお前で、俺は俺で美桜と過去にあった事を……すっきり忘れる事なんてできないだろ?たぶん、美桜だって同じはずだ」



「……美桜もお前もあの時の出来事がきっかけで、一度精神的なバランスを崩してる。あれだけ拗れて10年もお互いに顔を合わせてもいなかったんだ。一遍に全てを解決しようとするのは危険だ」



「また繋がる事はできたんだ。時間がかかってもいいから、また少しずつお互いを知って歩み寄って行けばいい。もちろん、俺も同じように美桜に歩み寄るから。美桜のほうは、あの二人がついてれば大丈夫だろ」

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