幼馴染みの期限

***

「それでね、ババ山に『もうちょっと段取り考えなさい。新人みたいな仕事してんじゃないわよ』って嫌みたっぷりに言われたワケ」


んなこと、分かっとるわー!!と大声で叫ぶ宏美さん。ここが居酒屋だから酔っ払いが騒いでるなーぐらいで済んでるけど、このまま行くとさすがに注意されるんじゃ……と思うくらい今日の宏美さんは荒れている。


宏美さんは私よりも小さくて、身長も150センチそこそこしかない。

くりくりとしている茶色の瞳、目と同じく少し色素の薄い茶色の髪はふわふわとパーマがかかっていて、ツインテールの髪型はトイプードルを連想させる。

だから荒れていても小型犬がキャンキャン吠えているようにしか見えなくて、何だか可愛らしい。


『街コン』の説明がてら飲みに行こうかということになって、今日は宏美さんも一緒にいつもの居酒屋に来ていた。


ニコデーには早番も遅番も夜勤もないけど、看護師だけはたまに残り番という会社員で言うところの残業のようなものが持ち回りである。


残り番に当たっていた才加と「片付けたい仕事があるから」とデイに残った広海が後で合流することになって、私と宏美さんが先にいつもの居酒屋に来ていた。


私が乾杯のビールをちびちびと口にしている間に、気がついたら宏美さんの前にはジョッキがひとつとカクテルグラスがふたつ置かれていた。
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