幼馴染みの期限

「ま、でもじゅりっちにババ山がキツく当たるのは、若いからとか仕事のことだけじゃないよねぇ」

……ん?何で?

頭を振りすぎてクラクラした目線を必死に宏美さんの方へと戻す。

「ろみっちと仲がいいからに決まってるじゃん」


気がついたら宏美さんの声がオカマのようにガラガラとした声になっていた。


……叫び過ぎですよ。もう。


「はぁ。どーしてみんなそうなんですかね。幼馴染みだってだけでキツく当たられても……」


「はいはい。言ってなさいな。生まれた時からずーっと一緒で『たまたま』職場も一緒なだけなんでしょう?何とも思っていないんだったら、さっさとコンビ解消してあのぶりっ子にでも渡しちゃえばいいでしょーが」


「広海とは、別にコンビを組んでる訳じゃ……」
「それって、私のことですかぁー?」


私の言葉に被せるようにしてワントーン明るめの声が響き渡ると途端に宏美さんは『げっ』という表情になった。


遅くなりました……と現れた広海と才加の隣に、さらに二人の男女が並んでいた。


「宏美さんヒドイ。何で誘ってくれないんですかぁ。私も大和くんも飲みに連れてってくださいってずーっと話してましたよね?」


「そうですよ!俺だってずーっと才加さんと飲みに行きたいって言ってたじゃないですかー!」


『ごめん、つかまった。』両隣の二人に聞こえないよう、才加は声を出さずに口パクで謝っていた。
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