幼馴染みの期限
「何が『宏美さんと飲みに行きたいんですぅー』よ。どうせ私とじゅりっちのことなんてどーでもいいんでしょ?」
しっ、しっ、とまるで犬でも追い払うように『帰れ!』と宏美さんが手をブンブンと振った。
本気で嫌がっているのに、何でだろう……犬が犬を追い払っているようにしか見えない。
「えー、いいじゃないですかぁ。樺山さんだって『もっと下の子達とコミュニケーション取りなさい』っていっつも言ってますよね?」
樺山さんの名前を出されて、宏美さんの顔がいっそう険しくなった。
到着早々宏美さんに絡んできたこの女の子の名前は、本條 陽菜ちゃん。1年目の新人だ。
宏美さんは陽菜ちゃんをぶりっ子で嫌だと嫌っているけれど、私には特に突っかかって来ることもなく普通に先輩として接してくれていると思うので、私にとっては可愛い後輩だ。
……まぁ、ぶりっ子はともかく、普通に可愛らしいと思うしね。
可愛い顔に似合わず、巨乳だしね。
才加が日本人形みたいな美人さんだとしたら、綺麗なカールのかかった栗色の髪をポニーテールにして揺らして歩く陽菜ちゃんは、ビスクドールみたいに華やかで可愛らしい。
今日だって飲み会の話を聞きつけて急に来たにしては、ふんわりとしたスカートなんか履いちゃって……
『えっ、ただ着替えて帰るだけなのにそんな格好で来てんの?』と、その基礎女子力の高さに思わず感心をしてしまうくらいだ。