幼馴染みの期限
一方、才加の冷たい視線を気にすることなく、ニコニコと側にくっついているこの男の子の名前は川端 大和くん。この子も一年目。陽菜ちゃんと同期だ。
犬系男子の彼は、ニコデーに通うおばあちゃん達のウケが抜群にいい。よく言えば人懐こく、悪く言えば少々うっとおしい。
中、高とバスケ部だったという大和くんは180センチの長身だけど、ひょろりとした感じではなく適度に均整の取れた体格をしている。そこにニコニコとした人の良さを感じさせる顔が乗っかっているので、大型犬が尻尾を振っているようにしか見えなくて微笑ましい。
陽菜ちゃんも大和くんも強引に私達の飲み会に参加をしたがる理由はただひとつ。
二人とも『狙い』がはっきりしていて、逆にすがすがしいくらいだ。
今回は宏美さんが一緒だけど、最近3人で飲んでいる時も、この二人が偶然を装って顔を出すようになっていて正直困っていた。
同期の絆が深まるのはいいことなんだけど……邪な目的がなければね。
二人が合流してしまうと気兼ねなく話ができなくなってしまうので困ってしまうのだ。さすがに後輩にまで情けない失恋話を披露したくはない。
そして、二人の狙いの先にいない私は空気のような存在になってしまう。それがちょっと……いや、だいぶ悲しかったりする。