幼馴染みの期限
その言葉に導かれるように、キュッと目を閉じる。


唇が触れ合うのを少しだけ緊張しながら待っていると、



「……これから、10年分愛してやるからな。覚悟しろよ」



……って、耳元でまた囁かれて、広海の言葉とは思えない程ストレートな告白と、その言葉のあまりの甘さに心臓が飛び跳ねるほど驚いて、全身の力がくたりと抜けた。


そのまま唇が重なりあって、力が抜けた私の唇の隙間から、するりと広海の舌が入りこんでくる。


「……ふぅ……んっ」


抱き合うよりも、触れ合うよりも、もっともっと深い所で広海の熱を感じる。


その熱を身体の内側で受け入れている事実に、まだ少しだけ心は翻弄されたままだけど……


私達はもう幼馴染みじゃなくて、恋人同士なんだって、じわじわと感じて、満たされて変わっていく自分も確かに存在している。



こんな恋人同士の触れ合いに、さっきから心は落ち着かなくて、休む暇もなくときめいていて……でも、そんな触れ合いだって、本当はずっとずっと心の底では待ち望んでいた。



好き。大好き。



広海の事が、誰よりも愛しい。



これからは、いつでも伝えられる。



身体中に広がる『愛してる』の熱を感じながら、私は、叫び出したいほどのしあわせをゆっくりと心の中で噛み締めた。




***


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