幼馴染みの期限

「『ちょっと待って』って、何をどれだけ待てばいいんだよ」


「……だっ、て……こんな……急に……んっ」


戸惑いながらも抵抗していた指先はすぐに絡め取られて、『待って待って』と繰り返す唇は言葉ごと塞がれた。


緊張してカチンコチンに固まった身体が段々と熱を帯びて、心臓が口の中から飛び出してきそうなくらいにドクンドクンと鳴り始める。


……だから、さっきまで全然そんな雰囲気なんて無かったのに。


急に恋人の距離感で迫られても、慣れていない私は、応える事もできずに身体が固まってしまう。


私にできるのは、ただ待ってとお願いする事だけだった。


「お願いだから……」


目尻に涙が滲む。何度目かのお願いでようやく広海は唇を解放してくれた。


「……だから、どんだけ待てばいいんだよ」



広海が唇を引き結んで、右の眉を下げる。




「これ以上待ってたら……」







「じーさんになっちまうんじゃないのかい?」





ヒイィィィィーーーーーーー!!!!!!





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