幼馴染みの期限
目の前が真っ白になって、すーっと意識が遠退いて……次に気がついた時には、もう朝だった。


私は、広海の部屋のベッドで目覚めて、隣には当然のように広海が眠っていた。


……え?

服は着てたかって?


もちろん、全て身につけてましたよ。


お互い裸で……なんて展開は、ぐーすか寝てしまった私にありえるはずもなく……


まるでお姫様のように綺麗な広海の寝顔を堪能する余裕も無く、私は転げるように広海の部屋を飛び出した。


玄関に入ってすぐ、土下座する勢いで無断外泊を謝る私に、母は「あら、広海くんは?一緒じゃないの?」と言った。


「広海くんの分も朝ご飯の準備出来てるから、声掛けてきなさい」


怒るどころかニコニコと話す母に、頭のてっぺんからハテナがいくつも飛んだけど、再び広海の部屋に戻って眠り姫のようにスヤスヤと眠っている広海を叩き起こして、ようやく分かった。


どうやら、私が眠りこけてすぐ、広海が家に連絡をしてくれていたらしい。


だからと言って、年頃の娘が幼馴染みとはいえ男の家に泊まってもノーリアクションで、「あー、もう。急展開すぎてお赤飯の用意が間に合わなかったわ。白米でごめんね」なんて理解不能な謝罪を私にする母の行動の意味も分からない。


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