幼馴染みの期限
「……怒らないの?」


恐る恐る母に問いかけると、

「なーに?怒って欲しいの?」

と、まぶしいくらいの笑顔で返された。


そして10分後には、ニコニコの母と、気まずい表情の私と……そして、何故かとても眠そうな広海の三人で食卓を囲むという、シュールな光景が完成したのだった。

(ちなみに、父は出張中だった)


「うわっ……旨っ。里子かーさんのだし巻き玉子、昔、俺いちばん好きだったなー」


「そうでしょ、そうでしょ?私もね、広海くんが好きだったなーって思ってコレ作ったのよ」


絶対偶然だ、とジトッと睨む私の視線を気にもせず、すっかり上機嫌になった母は、また朝ご飯だけでも食べにおいでね、と優しく広海に声を掛けていた。


だけど次の瞬間に「何なら昔みたいに樹里の部屋に泊まっちゃってもいいのよー」と、ニコニコ顔で言い切った母に、私達二人が固まってしまったのは言うまでもない。



こうして、何だかスルッと親にバレる形で付き合い出した私達だけど……



今日までの一ヶ月間、私達はお互いの部屋に泊まり合うどころか、キス以上のモチャモチャを……


そう。実はまだ、私達はキス以上のコトをしていないのです。

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