幼馴染みの期限
「ってかさ、大和、あんたいつまでここにいる気?今日は女子会だから、付いて来ちゃダメって言ったでしょ?」


バッサリと大和くんを切り捨てる言葉を吐く才加に、大和くんは「えー……やっぱダメ?」と可愛く上目遣いで粘ってたけど、それすらも才加は「キモい」と切り捨てていた。


愛情はあるけど、どうやら容赦はしないらしい。


「いいよー。こっちは男子会してやるから。樹里さん、今日は広海さん帰しませんからね!」


大和くんが冗談を言って笑う。だけど、私は大和くんが口にした"広海"という言葉だけで、分かりやすく心臓がドキッと大きな音を立てて跳ねた。



思えば、今日は目覚める前から最悪だった。


変な夢を見て、その夢の恥ずかしさで広海の顔がまともに見られなくなって、しかも今日は火曜日だったから源さんの顔を見て、また今朝の夢を思い出して顔が真っ赤に染まった。


広海に顔を赤くするのは"ああ、また何かあったんだな"くらいに思われるだけだろうけど、さすがにじーさんを見て顔を真っ赤にする私の様子はかなり不審に見えたのだろう。


リハビリ補助が終わったと同時に才加に首根っこを捕まれて、「今夜は女子会だからね!」と宣言されてしまったのだ。


そして、宣言通りに私達は今『紫山(しざん)』へとやって来ている。


ちなみに、才加は宏美(ひろみ)さんにも声を掛けていたのだけれど、宏美さんは業務日誌の当番で、まだ仕事が終わっていない。


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