幼馴染みの期限

……才加は泣いていた。


あの日、二人に一体何があったんだろう。


『あの日、どうして二人で紫山にいたの?』


なんて軽々しく聞けないくらい二人の距離は近くって、今でもあの光景を思い出す度にチクチクと胸の奥の方が痛む。


二人の仲を疑ってるワケじゃない。才加や広海の気持ちを疑ってるワケでもない。


だけど、あの光景が頭から離れない。


真っ白なシーツの上に、ほんの一滴だけ墨を垂らされてできた小さな小さなシミのように。


些細な事かもしれないけれど、その部分だけ目立って気になって仕方がない。


私は、あの日からずっと、この気持ちの落とし所が分からないんだ。



***



ーー 結局、


今日は、どうして私が広海や源さんの顔を見ただけで動揺していたのか……なんて話は一切できずに、いつの間にか飲み会がお開きとなりそうな時間になってしまっている。


その全ての原因は、目の前のこの人にある。


「……オトコなんて、誰だって誰だってみんなみんな下半身がだらしないだらしないバカばっかりなんだよぅー。おぅ。おぅ」


器用に自らの声にエコーを付けながら泣く宏美さん。


……間違いなく、酔っている。


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