幼馴染みの期限
「……ごめんね。何か宏美さんも様子がおかしかったからまとめて話を聞こうと思ったんだけど……完っ全にタイミング間違えたわ、コレ」


おいおいと泣きじゃくる宏美さんの横でハァ……とため息をつきながら、こっそりと小声で才加が謝ってきた。


確かに、宏美さんが泣きながら話す彼氏(仮)との恋人同士と言うか、もはやモチャモチャのみ(セフレ同然)の関係は、モチャモチャ未経験の私には内容が濃すぎて、恥ずかしくて、まともに耳を傾ける事すらできなかった。


宏美さんが到着してから一時間。才加が私と宏美さんと分けて別々に話を聞くべきだったと後悔し始めた頃、私に残された逃げ道は目の前のビールを次々と飲み干すくらいしかなくなっていた。


だ、だ、だ、だ、だって……


呼び出されてソッコーでラブが付いちゃうホテルとか。

そんな時間やお金すら使いたくないのか、会ってすぐに車の中でとか。

女の子の日だって分かったら、その日は会ってくれなかったとか……。


もっともっと詳しい内容は、もう恥ずかしすぎて、ここにも挙げられない。



……とにかくビールが進む。進んで仕方がない。



どんどん際どくなっていく話に耳を塞ぎながら、私は5杯目のジョッキを空にした。


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