幼馴染みの期限
取り皿をギュッと握りしめながら、パスタにしようかそれとも軽めに前菜から行こうかなんて迷っていると、「あ、取りましょうかー?」なんて男性に話しかけている女子グループが目に入った。
はぁー……ああやってスムーズに会話に入っていくのか。
「なーに口開けたままぼんやりしてるのよ、じゅりっち」
「あぁ、ああやって気の利いたことができると男性とのコミュニケーションもスムーズにいくのかと思いまして……」
「あれを気が利くと思っちゃうんだね、じゅりっちは」
「はい。同じ女として見習わないとな、と」
「この前の飲み会の時も自分と才加っちと陽菜を比べて落ちこんでたでしょー。具合が悪いから帰るって嘘なんかついちゃって。……でもね、あの二人は気が利くの質が違うんだな」
この前落ちこんでしまっていたことや、具合が悪いと嘘をついていたことまで見抜かれていて驚いた。
「才加っちは私やじゅりっちや気のない大和にまでちゃんと料理を取り分けたりしてさりげなく気を遣える子」
「で、陽菜はろみっちだけに気が利くイイ子だと思われたくて、気を遣えるように見せてる子、だよ」
宏美さんは、「あの人達と一緒」とさっき料理を取り分けていた女性達を指差した。