幼馴染みの期限
やれやれ……と盛大にため息をついた宏美さんの後ろから「そこの二人ー。女子同士でイチャイチャしてないで積極的に動きなさい」とからかう声が聞こえた。
振り向いた宏美さんがガッカリと肩を落とす真似をして言葉を返す。
「何だ崇か。いいオトコが私達のこと、見つけてくれたのかと思ったのに」
そこに立っていたのは、宏美さんのお兄さんの崇さんだった。
崇さんは宏美さんより2つ歳上の28歳。
全てのパーツがちっちゃくて可愛らしい宏美さんとは反対に、すらりとした体躯の崇さんはその色素の薄い髪も瞳の色も宏美さんとそっくりなのに、そこはかとなく色気を感じさせる。
ここだけの話、初めてお会いした時にその格好良さに危うく恋に落ちそうになったくらい。
「立ってるだけで声をかけてもらえるほど自分に自信があるの?だったら何も言わないけど。お兄ちゃんはね、妹の幸せを願ってるんだから頑張りなさい。あ、もちろん妹の大切な友達の幸せも願ってますよー」
そう言っていたずらっぽく笑うと私達に向かって軽くウインクをした。
その色気だだ漏れのウインクに、耐性のない私の心臓はバクンバクンと色気の無い音を立てる。
普通にされるとサムいけど、崇さんだったら様になるのが不思議。
むしろ、もっとバチーン!と強めのウインクを頂きたいくらいです!