幼馴染みの期限
「樹里!ありがとう!!」
この言葉を聞くのは何回目かな。
もう、数えたくもないや。
あーぁ……と言いたい気持ちをぐっと堪えて、私はお決まりの言葉を口にする。
……心がこもっていないのは、見逃していただきたい。
「私、何にもしてないってば。恵が頑張ったからでしょ?……でもね、藤田くん、最初っから恵のこと可愛いなって言ってたんだよ?」
えっ、ほんとに?と真っ赤に染まった頬を両手で押さえながら恵が可愛らしく微笑んでいる。
その頭の中は先週からめでたく付き合うことになった彼氏の藤田くんのことでいっぱいなんだろうなぁ……
恵が羨ましい。
……うらやましい。
うーらーやーまーしぃーーーっ!!
現在18時半。ファミレスにて友達に彼氏ができたという報告を聞いている私。
顔で笑って心で絶賛号泣中。
なぜって、恵の彼氏の藤田くんに私も恋をしていたからね。
届かなかったこの想いは、溢れる前に(ばれる前に、とも言う)蓋を閉めて、重りをつけて、深く深く心の底に沈めることにします。