幼馴染みの期限
……あれっ、私、何かはずした?
もしかして、昔自分を好きだったこと思い出しちゃった?
それで、イタいヤツって思われてる?
一瞬で、嫌われたかも……とドン底まで妄想を広げていると、ピンポーーンと店内放送のチャイムが鳴った。
「『Felicita』でのお時間は以上です。『羽コン』は16時までの開催ですので、残りの時間はパンフレットをご確認の上で、ルールを守ってお楽しみください」
「ははっ。今の笹岡さんの声だ。もう30分経ったんだ、早いな。……ねぇ渡瀬、一緒にどっか移動して話しない?」
予想もしていなかったお誘いに動揺してしまう。
「えっ、でも向井くんはお仕事あるんじゃないの?」
「仕事?無いよ。俺の今日の立場はこっちでしょ。ほら」
そう言って向井くんは左手を挙げた。
その手首には私と同じ白地に羽根模様のラバーバンドが巻かれている。紛れもなく参加者の印だ。
「ねっ、だから俺はここに残らなくていいし、自由に移動してもいい人なんだよ。渡瀬は?誰か気になった人いた?」
「……こうやって向井くんと話するまで、宏美さんと崇さんとしか話せなかったよ」