幼馴染みの期限
「なぁ、樹里」
「何?」
「2月14日は何の日だ?」
「決まってるじゃない。渡瀬 樹里様の聖誕祭でしょ」
「まぁ……そんな感じだと思った」
「あと、バレンタインデー。他に何かある?」
「お前はイイヤツだけど、忘れっぽいとこがあるよな」
「なにそれ?それって広海のことでしょ?そっくりそのまま返すよ」
ちらりとスマホの画面を見た後で、笑いながら広海に視線を戻すと、思ったよりも真剣な表情をした広海の顔がすぐそばにあって、思わず後退りをしてしまった。
トン、と壁に身体がぶつかり、これ以上後ろに下がれないことに気がつく。
それでも静かに距離を詰めてくる広海に対して、今までに感じたことの無い緊張感が身体に沸き起こってくるのを感じていた。
「ひ、……ろみ?どうした……の?」
掠れた声が出る。
そのまま頭の上の壁に手をつかれ、覆い被さるように顔が近づいて来た。背の低い私はこうされただけで逃げ場を無くしたように思ってしまう。