幼馴染みの期限
そんな事は分かってる。
分かってるけど……だけど……
「そんなの……できないよ……」
寂しい。
死ぬほど寂しい。
離れないで。
いつの間にか洗面台に突っ伏すほど項垂れている自分に気がつく。慌てて頭を上げると、赤い瞳からまた涙が一粒ポロリと零れ落ちたのが見えた。
『誕生日が過ぎたら俺の思う通りにするからな』
『お前も覚悟しておけよ』
「広海……」
先日聞いた広海の言葉がふと脳裏をよぎった。
あぁそうだ。
広海は、こんなに分かりやすく私にメッセージを送ってくれてたのに。
14日を迎えると、あの日から10年が経ってしまう。
そしたら、たぶん広海は誰に邪魔をされる事なく才加と付き合うことができる。……そういう事だったんだ。
それを受け入れる覚悟をしとけと言われたんだ。きっと。