幼馴染みの期限
そんな人に呼び出されて、心の中は穏やかでいられるはずがない。
呼び出してごめん、なんて思ってもいないくせに。
「……何の用?」
疑問も動揺も悟られないようにふるまおうとしたら、自然と素っ気ない態度になってしまった。
そんな私を見て、周りの女子達は一斉に『はぁ?!あんたほんとに分かんないの?!』とか、『分からないふりして、ほんと、サイテー』とか口々に私を責め始めた。
何なんだ、この女子集団。
私はこの集団に付けられた名前を知っている。
広海のファンクラブ(非公認だけど)だ。
そして、中でも梨華さんが熱心に広海の事を追いかけているのは有名な話だった。
どうしてこんな事になっているんだろう。
この人達と私とは、なかなかの友好関係にあったはずだ。『広海に近づく手段』として。
「別に……今何があっても広海には言わないから。だからどうして私が呼ばれたのかだけ教えて」
私の言葉を聞いて、梨華さんはその可愛らしい口元を上げてにっこりと微笑んだ。