幼馴染みの期限
「『広海に言わないから』だって。フフッ。まだ広海くんは自分のものだって勘違いしてるでしょ?『委員長』サン」
「どういう意味?広海はただの幼馴染みで……」
「だからそれが勘違いだって言ってんの。空気読んでよね」
気がついたら、私はみんなに囲まれていた。囲まれたまま笑い者になっている。
「それとも言われなきゃ分かんない?私、広海くんと付き合ってるの。私は広海くんの彼女。これで分かった?」
……それがどうした。
それが素直な感想だった。
小学校までは女顔で背が低くていじめられていた広海は、中学に入ると成長期に突入してあっという間に私の身長を追い越した。
整った顔立ちと、陸上部で鍛えられた程よく筋肉がついたすらりとした体系。無愛想だし、ちょっと口が悪いけど、これでモテないはずがないと思う。
いつも私の後ろに隠れるように立っていた広海はもういない。
そんな事は分かりきっていたし、それに梨華さんがはじめての彼女じゃないことも知っている。
今までの彼女の数を数えたら、両手で足りないことだって知ってるんだから。
だから今さら梨華さんがどう牽制して来ようが、知ったこっちゃないのだ。